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ロータス小松礼雄コラム:最終戦に向けて負けられない理由

2015.11.28

 ロータスF1チームで昨年、ロマン・グロージャンを担当していたレースエンジニアの小松礼雄氏。今シーズンはチーフエンジニアに昇格してグロージャン、そしてパストール・マルドナドの2台のマシンでF1を戦います。
 
 厳しい資金難でレース以外の気苦労、そして物理的な問題に直面しているロータスF1チームと小松エンジニア。日本と真逆のブラジル、サンパウロでの戦いを振り返ります。チャンピオンは決まりましたが、ロータス・チーム、そして小松エンジニアともに最後まで全力で戦わなければならない理由がそれぞれあるのです。

 F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム、第18回目の一部をお楽しみ下さい。

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小松礼雄コラム 第18回

最終戦に向けて負けられない理由
小松エンジニア&エンストーンの意地


 今回のブラジルGP、フリー走行を見る限り予選でのQ3進出は期待できる流れだと思っていましたが、結果的に2人ともミスでそのチャンスを逃してしまいました。パストール(マルドナド)はQ1でノックアウトされましたが、これは8コーナーと9コーナーでミスしてコンマ3秒ロスしたのが原因です。サンパウロのように1周1分12秒~13秒の短いラップタイムのサーキットでは、わずかなタイム差が致命傷になりますが、コンマ3秒もロスした時点でアウトだなとは思いました。セクター1とセクター3はロマン(グロージャン)より速かったくらいだったので、セクター2のミスが悔やまれます。

 予選Q1は2台ともコースインのタイミングを遅らせて、1回のアタックのみでQ1突破を狙いました。というのも、レースのメインタイヤはプライムだということが分かっていて、レース戦略が2ストップになるか3ストップか、その時点ではハッキリとはしてない状況でした。レースに向けてプライムタイヤをセーブしたかったですし、1アタックでロマンは問題ないと思っていたので、最初からその予定にしていました。

 パストールはロマンよりコンマ3秒くらい遅かったので、まずはプライムで走って、2度にオプションでアタックというプランを考えていたのですが、ミーティングの最後でパストールは何か自信が出てきたのか「僕も最初のランはいらない」と言い出しました。来年はエースドライバーになるわけですので、そのパストールの意向を尊重したのですが、残念ながら失敗してしまいました。さらにQ2のロマンも残念ながらアタックした2回ともミスしてしまいました。ロマンが2回ともミスするというのはかなり珍しいのですが、仕方がないです。

 こんなことがあり予選は15、16番手なりましたので、ここから入賞を狙うためにも、ほとんどのドライバーがオプションタイヤでスタートする中、パストールをプライムタイヤでのスタート、リバース・ストラテジー(逆の戦略)にしました。この戦略はリスクも大きくないし、あとはチームとしてプライムタイヤのインフォメーションを採ることができます。他のチームでプライムを履いているクルマのタイムを見ればおおよその状況はわかるのですが、自分のチームの1台をそのタイヤで走っていれば、より早く正確に状況がわかるので2台の戦略を分けました。


 パストールはそのままプライム→プライム→オプションというのがレース前の基本プランでしたが、オプションタイヤを履いたクルマのタレ方を見ていたら、思ったより悪くはありませんでした。プライムは予定どおりで、オプションタイヤのタレが思ったより少なかったので、第2スティントにオプションを入れても悪くないとういことが判りました。しかし、その後に2ストップ戦略で、残りの2スティント共にオプション→オプションでいけるかといったら、それは摩耗が激しいので保たない。だからプライムを3つのうちの2つのスティントで使用しなければいけないのです。パストールの前後の状況から判断して、最後の第3スティントではなく第2スティント目でオプションを入れました。

 パストールはあの時点でピットインした後、ザウバー2台とマクラーレン2台を抜かなければいけなかったので、その時にオプションタイヤを履いていれば抜きやすいというのが一番の理由です。彼らはピークを過ぎたプライムタイヤを履いている状況なので、パストールがオプションのニュータイヤを履けば抜きやすいし、そこでなるべく上位までいける限り行って、最後にプライムタイヤでポジションを守ろうと考えました。その戦略の方が最後のストップでオプションを履いて追い返すよりも、上位に行ける可能性が高い状況でした。

 ですが、そこでちょっとした誤算がありました。パストールのタイムが安定しなかったのです。最初は良かったのですが、オプションの中盤にそれまでの1分17秒台のタイムから、1分18秒台、そして1分19秒とタイムを落とす周が多くなった。それは、トップを走る集団との絡みが原因でしたが、彼は抜かれるのがあまり上手じゃないんです。(ダニール)クビアト、(フェリペ)マッサに抜かれた時にロスしすぎました。それでタイムが安定しませんでしたが、なんとかザウバー2台、マクラーレン2台はパスすることができました。

 一方のロマンも予定どおりとは言えませんでした。最初のオプション、プライムは予定どおりなのですが、前のクルマ(セルジオ)のペレスと(マックス)フェルスタッペンを抜けませんでした。僕らは基本的に2ストップを考えていましたが、ペレスが33周目の段階で入って、そのあとにフェルスタッペンもすぐそれに続いて入りました。その時点ではペレス、フェルスタッペンともに2ストップか3ストップか分かりません。そして、その時にウチのチーム内でピットタイミングの意見が分かれました。

続きはF1速報有料サイトでご覧ください

「最後まで戦う意味、そしてプライド」
「F1の激務を戦い抜くために必要なメンタルコントロール」
「小松エンジニアのロータス最後のレース」

(小松礼雄)


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