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今宮純によるF1パラドックス総括・ドライバー編

2015.12.28

 シーズンを通じて独自の基準で「ドライバー採点」を行ってきた今宮純氏による、ここでしか読めない2015年F1総集編シリーズ。第1回はドライバーに焦点を絞り、2015年を面白くした「傑物」/つまらなくした「戦犯」を挙げる。

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 これを書かねば年を越せない、2015年F1“パラドックス”総括シリーズ。短期集中連載、まずはドライバーから。

ロズベルグの伸びしろを奪った存在とは?

 2015年もニコ・ロズベルグはチームメイトに3年連続「3連敗」してしまった。2013年はランク6位(ルイス・ハミルトン対比:マイナス18点)、2014年ランク2位(マイナス67点)、今年もランク2位(マイナス59点)。昨年は最終戦がダブルポイント制だったので、それを考慮すればマイナス42点。ハミルトンと組んでから得点差が徐々に広がっている。

 2012年までは復帰したミハエル・シューマッハーに勝っていた。2010年ランク7位(プラス70点)、2011年ランク7位(プラス13点)、2012年ランク9位(プラス44点)。タイトル争いとは無縁なポジションでシューマッハーに先行、満足気な表情を浮かべて偉大な先輩を立てる優等生だった。

 抜くか抜かれるか、シューマッハーとの熱いチームメイト対決など一度もなかった。新生メルセデスはタイトル争いから遠く、ほどよい40度くらいのぬるま湯に浸りながら3年を過ごした。いま思えば伝説のレジェンドだろうが(だからこそ)、ロズベルグは新鋭の力を見せつけて、40歳を過ぎたシューマッハー相手に存在を示すべきだった。


 レーサーとして本来もっとも進化する20代の中盤にシューマッハーと組んだことが、彼の伸びしろをスポイルしたのではないか。そう感じたチーム首脳陣は2013年にマクラーレンからハミルトンを招聘、それは2014年の新パワーユニット革命に備えるメルセデス総体のタイトル奪取計画の一部でもあった。同年代ふたりを競合させることによって王座を獲る──。

 私見だが、過去3冠のハミルトンと無冠ロズベルグに、速さで「3対0」の差はないと思う。日本GPからの6戦連続ポールポジションが証明するように、ロズベルグは雨がらみで走行時間が制限される条件が続いた場合やメキシコGP初コースでセットアップ能力を活かしきった。頭脳派と言われるゆえんだ。この能力を自信に置換した最終盤3連勝は、相手がタイトル決定後で心技体100%でなかったにせよ実力勝ちだ。でも、時すでに遅かった。

 ロズベルグに、もっとシーズンを面白くしてくれなかった“罪”を感じる。十分な速さはあるのに攻めこめず守りきれず「1対1勝負」の決闘に脆かった。3冠と無冠の差が、ここに集約される。ハミルトンとのチームメイト対決4年目、来シーズン200戦を超える彼に、このまま引き下がってほしくない。


限界からのリカバリー、フェルスタッペンの未来力

 団体競技と個人競技では「チームメイト」の意味合いが違う。F1は1チームにふたりのドライバー、メイト=ライバルという意味だ。今季トロロッソは前代未聞のラインアップを編成、デビュー年齢17歳のマックス・フェルスタッペンと20歳のカルロス・サインツJr.。ふたりの若さが大変な話題になったが、それより、いっぺんに新人2名を起用したことに驚いた。通常ひとりは経験者を継続起用して組ませるのがセオリーだ。

 2015年のルーキー・ストーリーは語り継がれるだろうと予感したのは開幕戦オーストラリアGPだ。覚えているだろうか、最初のフリー走行でサインツ4位、フェルスタッペン6位、セクター3にいた自分は、彼らを“レッドブル”と見間違えた(!)。サインツは開幕戦すべてのセッションで先行、9位に入賞して史上62人目のデビュー戦入賞者となった。安定感あるスピードを着実に見出してくるタイプだ。

 フェルスタッペンは、やや違う。限界ゾーンに毎周突進するアプローチで攻めまくるタイプだ。ハーフスピンを何度も目撃、そこでコントロールを失わず、リカバーする能力が秀逸。予選中に4コーナーではみ出してしまったときも平然と切り抜けてみせた17歳の勇気。そこから彼らの物語が始まった。


 2戦目にダブル入賞。サインツは母国スペインGP予選で5位、フェルスタッペンはハンガリーGPとアメリカGPで4位入賞。結果としては後半戦での6レース連続入賞もあって「新人王」には、より若いフェルスタッペンが認められた。サインツに不運なトラブルが頻発したことを差し引けば、ふたりとも新人王に挙げたいくらいの力量を感じた。

 ただ、フェルスタッペンが王にふさわしいのは「年間最多オーバーテイク」をやってみせたこと。ミスを恐れず、相手が誰であろうと躊躇せず攻撃したこと。そしてチームメイトよりレース運が強いこと……これが“未来力”につながる。

 盛り上がりに欠けたタイトル争い、しかし世界最速の17歳がデビューしていなければ今シーズンは、もっとつまらなかっただろう。伸びきれず敗れたロズベルグと伸び盛りのフェルスタッペンが2015年を際立たせた。

(今宮 純/Jyun Imamiya)


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