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特別企画:コーチがF1ドライバーのスタイルを分析

2016.01.03

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 世界的に著名なドライバーコーチである、ロブ・ウィルソンを知っているだろうか。彼の生徒には多くのF1ドライバーがいる。そのウィルソンが、現役ドライバーたちのスタイルを検証する特別企画。

 性格がドライビングに表れるというのは、疑いようもない事実である。不躾であったり、親切であったり、上品であったり、攻撃的であったりと、ハンドルを握るとすべてがあらわになる。どのような性格を持っているとしてもレースに勝つことはできる。肝心なのは誰と争っているか、どのマシンに乗っているか、そのカテゴリーがどれだけコンペティティブかということだ。

 ドライビングスタイルに違いがあるのは間違いない。それはマシンに乗っていないときでもわかるし、30年にわたって年間数100日をレーシングドライバーの隣で過ごした経験から言うと、もちろん乗っていても見て取れる。

 近年はマシンのグリップが大きく、よく止まり、ホイールスピンが少なく、コーナリング性能も良いため、外からスタイルを判断するのは難しくなっている。フルフェイスのヘルメットを被り、目の見えないバイザーを使用するドライバーは宇宙飛行士のようだし、コクピットが高い位置にあるので手の動きも見えない。ハンドリングやスタイルの違いが顕著ではないため、コーナリングスピードにも大差はなく、個性は隠れてしまう。タイム差が少ない現在はコンペティティブだと人々は言うが、タイムを失う機会は少なくなった。つまり、ドライビングのスタイルを観察する機会も減少したということになる。

 とはいえ、我々は彼らの個性に魅了される。このあたりで前置きは中断して、現在F1で活躍しているドライバーのスタイルを比較してみよう。


 2015年にトロロッソからデビューしたルーキーたち。カルロス・サインツJr.とマックス・フェルスタッペンは少々異なるスタイルを持つ。サインツは限界ギリギリのドライビングをしており、コーナリングの占める割合が少々多い。限界のマシンコントロールに頼りがちなため、ときにボロが出る。フェルスタッペンはマシンに小さなフラットスポットを作りがちだ。かなりブレーキ圧の減少に集中していて、コーナーへの進入角度を見ると非常にクレバーなドライバーであることがわかる。アプローチではサインツが少しばかり公正で、もしマシンコントロールに依存していなければ、サインツのほうが少し速かったかもしれない。フェルスタッペンはコーナーでの旋回が素早いが、サインツは少々遅く、出口に向けてより多くのコントロールを要求されるタイプだ。両者とも同程度のラップタイムを叩き出すことはできるが、サインツは少しばかり修正が多い。

 マクラーレン・ホンダで苦戦中のジェンソン・バトンは古典的とも言えるスタイルの持ち主で、コーナーのジオメトリーに集中して走る。インプットはとても良いが、そのためにはバランスの取れたマシンが要求される。良いラインで長めのコーナーを走っていてマシンに問題が出た場合、それがラップタイムに大幅に影響する。一方でコーナーの距離が短い場合、影響は少なくなる。左足が腫れた状態で楕円形のトラックを歩いていると想像すると、きっと最後まで歩ききれない。ちょっとずつ右に右にずれて行ってしまうだろう。それはジオメトリー的には良くないだろうが、腫れた足は守れる。

 バトンは自分のパターンに固執しており、そのやりかたで成功している。フェルナンド・アロンソともども高い競争力があることは証明済みだ。現在はみんながルイス・ハミルトンを、過去にはアロンソを獲得しようと必死になっていたが、ジェンソンへの需要は、このふたりに並ぶほどではなかった。しかし彼は、ありのままのスタイルで成功する方法を見出してきた。


 ニコ・ロズベルグは計算高いドライバーだが、ルイスの才能は「路面とのつきあいかた」のうまさにある。調子が良いときは高いグリップを得られ、マシンの原動力を様々な要素から自然な方法で引き出す。ルイスのドライビングが常にそうあるのに対して、ニコが同じことをするためには、自分に言い聞かせる必要がある。

 キミ・ライコネンはスロットルと路面の感覚が素晴らしく優れている。彼はハンドルに荷重が伝わるやいなや、ぴったりの量でスロットルを開ける。まるで魔法のようだが、F1がターボエンジンになったことによって彼の能力は隠れたものとなっている。ターボが使用されるようになって以来、何度かの失敗が見られた。彼のドライビングスタイルはコーナーの距離が短いときにはとても良いもので、荷重移動には非常に長けている。これらすべてを最大限に活かすことができた場合、大変に良い走りを見せる。

 セバスチャン・ベッテルはコーナー出口で少々遅れがちなスタイルだ。彼の旋回方法でオーバーステアにならないためには、非常に高いグリップが要求される。そのためにマシン後部の安定性に対して、とても敏感になる。ハミルトンやライコネンは早めにコーナーに侵入していくが、ベッテルはバルセロナのコース終盤にある長めの右コーナーで、いつも一瞬ふくらんでから、やや遅れて旋回を始める。ルイスやキミの場合は、まずイン側につけてから徐々にマシンの感触をつかんでいくやり方だ。

 こういったスタイルの差はタイムの面で大きな違いはなく、ドライバーがどんなやりかたに慣れているかの違いなのだ。


 20年もの経験を持ちながら、同じ姿勢を貫き通すドライバーに出会うこともある。そんな彼らでも、絶えず取り組んでいる課題は相当にクリエイティブなものだ。かつて、エマーソン・フィッティパルディは他のドライバーを常に観察し、なぜ異なるラインを取ったのかと質問し、違う走り方を開発しようとしていた。

 1950年代のドライビングは「ブレーキに厳しいか」「スロットルに厳しいか」で二分された。「ブレーキングは、できる限り遅らせるべきだ」と言う物もいれば「まずはスロットルだ」と言う者もいる。コーナリング中なるべく速度を高く保つことを目標とする者もいる。ドライビングが現在よりも大きな部分を占めており、果敢さとコントロール能力で他を上回らなければならなかった。方向転換やトラクション、ミスを減らすことが重視されていた。

 勝つための走りかたは、ひとつではない。究極の方法は、誰かのスタイルの短所を最低限まで減らし、長所を最大化することだ。パストール・マルドナドはエネルギーあふれるドライバーで積極的だが、やりすぎると小さなミスやエネルギーの過剰消費につながり、タイムロスとなる。「とても良かったが、もう少しエネルギーを抑えていれば路面との関係性が、より調和したものになったのでは? ホイールスピンが抑えられていたら、その後のストレートでもっと加速できたのでは?」と言いたくなるだろう。

 高速コーナーを重視するドライバーは、ウエットコンディションでタイムを稼ぐことがある。ドライバーが「僕は1コーナーが、とても得意なんだ」というときには、やるべきことはとても少ない。ダウンシフトの必要も、限界でのブレーキングも、荷重移動の際のブレーキ圧の減少も不要。コーナーでトラクションを得るために最適な方向に進路変更することもない。マシンのバランスが優れていれば、難しいことではない。


 ジム・クラークは「仮想エイペックス」と呼ばれる手法を用いて素早い旋回を見せた、最もスタイリッシュなドライバーと言える。実際に描いてみると、あまり正しいラインには見えない。ジャッキー・スチュワートなら「タイヤの向きを一度は変えるが、スロットル操作によって進路を変更できる」と言うだろう。

 近年はスチュワートの時代よりマシンのグリップが高く、進路変更には、より大きなハンドル操作、わずかなブレーキのリリース、より大きな旋回が必要になるため、微細なスロットル操作は使えない。もし、その方法で曲がろうとするとオーバーステアやタイヤバーストに見舞われることになる。

 スチュワートはより伝統的なドライビングスタイルを用いて、競争力の点でクラークに非常に近いところにいた。クリス・エイモンは、最終的にスチュワートはクラークと同等の速さだったと考えているが、そのためにスチュワートは、より努力しなければならなかったと言う。これは現在のハミルトンとロズベルグとの比較に近いものがあるだろうか──答えは、わからない。

 過去には違いのわかりやすいドライバーが存在した。マシンコントロールに非常に長けていて、タイムロスが少ないロニー・ピーターソンやジル・ビルヌーブ。彼らが当時使っていたタイヤは長持ちしなかった。フィッティパルディやジョディ・シェクター、ディディエ・ピローニらは彼らと同様またはそれ以上の成果を得たが、アプローチの仕方は、より巧妙だった。

 昔も今もドライビングにはスタイルがあり、スタイルは個性によって生み出される。

(Translation:Akane Kofuji/オートスポーツweb )


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