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金丸悠のヨーロッパ悠々レーシングライフ 第5回

2015.12.16

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 2014年のF3マカオGP。F1を目指す世界中の若手が集まるこの激戦のレースで、キラリと光る存在感を示した日本人ドライバーがいた。金丸悠、現在21歳。日本の四輪界ではあまりその名を知られていなかったドライバーだが、F1ドライバーを目指し13歳で単身渡欧。2011年、17歳の時にカートの世界選手権で日本人初優勝を成し遂げた金丸は、今もなおヨーロッパに拠点を置きながら、F1への階段を一歩ずつのぼり続けている。

 このコラムでは、そんな金丸が単身ヨーロッパで戦うドライバーとしての苦労やこぼれ話などを、自分自身の言葉でお届け。第5回では、ふたつのシリーズを合わせて合計6戦が次々とやってくるシーズン後半戦の生活を振り返ります。第5回で3戦分、第6回でさらに3戦分をお届けする予定です。

* * * * *

 みなさんこんにちは。前回からかなり間が空いてしまってすみません。前回の夏休み編の最後にご報告した通り、9月から急きょワールドシリーズ・バイ・ルノー(WSR)のフォーミュラ・ルノー3.5(FR3.5)の残り3戦に出場することになり、9月から11月までの約2か月間、ユーロフォーミュラ・オープン(EFO)とFR3.5のダブルプログラム全6戦という日々を過ごしていました。今回はそんなシーズン後半の怒涛のレースライフ“前編”を、レースウィークごとに日記風にご紹介していこうと思います。

【1】EFO第6戦スパ・フランコルシャン(9月4〜6日)
 8月下旬にバルセロナへ戻り、夏休みモードは終了。9月に入り早速、シーズン後半戦がスタートした。後半1レース目はEFOスパ戦だ。

 9月2日、水曜日のうちにスパに移動。バルセロナの空港からデュッセルドルフ空港へ行き、そこから車で約1時間半、サーキット近くのホテルにチェックインした。今日の予定は移動だけだったので、そのあとは本場スパの“スパ”を堪能してきた。ホテルついているスパなのだが、山の上の方にあるためゴンドラに乗って移動。スパ自体は想像通り日本の温泉とは違い温水プールに近いもので、癒されにいったつもりが日本の温泉が恋しくなってしまった……。

 木曜は昼からサーキットに入りエンジニアと打ち合わせ。今回はWSRのシルバーストン戦と日程が被っていたため、FR3.5も兼任しているエンジニアのセルジとチームオーナーのエミリオはWSRが開催されているシルバーストンへ。代わりにエンジニアを担当してくれたマルクスは、DTMのアウディABTで総エンジニアを担当しているというすごい人だった。

 金曜日は練習走行が2本あり6番手と2番手。感触は悪くなさそうだが、ここはスパ。明日からの天気はどうなるのか心配……。

 土曜日、やはり天候は変わり予選は雨で11番手。決勝は路面が若干濡れた状態の難しいコンディションの中4位フィニッシュとなった。予選のセットは経験不足もあり外してしまったがマルクスの仕事はかなり細かく2日間でかなりの情報量を取り込んでいるようだった。

 日曜日の予選はエンジントラブルで1周しかできず17位。決勝では雨があがり路面も乾くだろうと予想し、かなりのローダウンフォースで臨んだものの、レース途中からの豪雨にプランが狂わされ結果11位。このエンジニアともう1レースできたら結果も全然違ういいものになっていたはず。そう思うと悔しさが残った。

 月曜日、ひとまずバルセロナに帰りひと段落。レーシングスーツとインナーの洗濯をしただけで1日が終わった。ちなみにうちの洗濯機は回しはじめると脱水するまで2時間以上かかる。こういうところでふと感じるスペインと日本の差も、時には日本が恋しくなってしまう。


【2】WSR第7戦ニュルブルクリンク(9月11〜13日)
 2週連続のレース、今回はFR3.5デビュー戦。今回も水曜日のうちにフランクフルトへ移動し空港近くのホテルにチェックイン。木曜日にニュルブルクリンクに入った。先週はここからわずか100キロしか離れていないスパにいたはずなのだが……。WSRには急きょ参戦が決まり、すでにバルセロナへ戻るチケットを取ってしまっていたこともあって、一旦バルセロナに戻ることになったのだった。月曜日に洗濯をして火曜日に次の出発の準備とあわただしい日程にはなったが、少しでも家に帰った方が気分的な切り替えにもなるのでよかった。

 翌日、昼過ぎにニュルブルクリンクに移動しチームと合流。8月のシルバーストンでテストをさせてくれたポンズ・レーシングから参戦。新しいチームに合流するわけだが、エンジニアにはセルジ、マネージャーにはエミリオがいるのでかなり気が楽だったし、すぐにチームとも馴染めた。ニュル自体も初めて走るわけではなかったので不安はなかった。

 金曜日は練習走行が2本。テストの時のマシンは旧車だったため、今回乗り込むのは初めてのパッケージのもの。まずはDRSの使い方から慣れようとクルマを走らせたがさほど時間を要さず乗ることができた。マシンの攻め方などはもう少し時間が必要だったが、思った以上に乗りやすく感じられた。

 FR3.5もEFO同様、土曜日に予選とレース、日曜日に予選とレースというフォーマットになっている。土曜日、FR3.5はじめての予選は赤旗などもあり2本目のニュータイヤでまともにアタックできず11番手。もっと上を狙えたはずで、正直悔しいが、初めてにしては想像以上に調子が良かったと思う。

 決勝では、FR3.5での初めてのレーススタートに少し緊張したが、ちゃんと決めることができ、一時は9位を走行。途中セーフティカー(SC)が入ったのだが、リスタート後にタイヤへの熱入れが足りず、フロントタイヤがロック。そこからはずるずると落ちていき、デビュー戦は11位という結果になった。

 日曜日の予選結果は20位。ニュータイヤとのセットがあまく2本目ではタイムをほとんど伸ばせず下位に沈んだ。決勝では直前に雨が降り出しほとんどのドライバーがウエットタイヤを選択したが僕らはスリックを選択。そのギャンブルが功をなし一時は6位を走行。だが、SCも入りタイヤ交換のタイミングを逃し、結果は12位。人生初のピットストップも経験できて非常に意味のあるレースだった。終盤にはかなり強い雨も降る中、スリックでは難しいコンディションを走ったり、初めてながらも前に追いつくことができいろいろと自信がついたレースでもあった。

 レース終了後すぐに空港に向かい、その日のうちにバルセロナへ戻った。先週同様、レース明けの月曜日は洗濯機を回すだけで日が暮れる。真夏は22時ごろまで明るいのだがこの季節になると19時くらいには暗くなりはじめる。1日が短く感じるようになった。夜は行きつけの日本食屋さんで息抜き。


【3】WSR第8戦ル・マン(9月25〜27日)
 先週はレースがなかったため、火曜日にバルセロナにあるポンズのファクトリーへ行き、ル・マン戦向けのシミュレーター練習とミーティングをしてきた。2〜3時間ほどシミュレーターでル・マンのサーキットを覚えながら、2種類のソフトタイヤセッティングを試す。エンジニアとの打ち合わせは1〜2時間ほどで終了。打ち合わせでは、どんなサーキットで路面のミューはどんなものか、ベースセットはどこのサーキットと似ている感じなのかを話したり、過去のオンボード映像やリザルトを見て気になった点を話し合った。

 ル・マンへは木曜に移動しその日のうちにチームと合流。エンジニアと打ち合わせを終え翌日に備える。

 金曜のフリープラクティスでだいぶマシンにも慣れ、トップ10を狙える位置まできたと思うのだが、土曜日の予選は赤旗に阻まれ惜しくも11位。レースではスタートを上手く決め7位に浮上。序盤は後ろとの間隔を上手く保ちながら、後半ペースを上げていったが抜くことはできずチェッカーとなった。最終的には、上位の1台がペナルティーを受けたので結果6位に繰り上げ。初シングル&初ポイント獲得を果たし、大きな収穫になった。翌日ももっと上位でレース終えられるようにと気を引き締め直した。

 日曜は散々な一日となってしまった。予選では、朝が早かったこともありバイザーの中が曇ってしまう。さらに、曇りを取り除こうとバイザーを少し開けたら、そこからオイル漏れの上にかける砂が目に入ってきてしまった。激痛で最後まで片目が開けられず、19番手に。バイザーを曇らせてしまったことは間違いなく自分の管理不足。トップ10も狙えたところにいたので、チームには申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 レースではSCからのリスタート後、前の車を抜きにかかったところで接触し、そのままリタイヤに。完全に抜いたと思っていたところでの接触で、相手も僕を見ていなかったらしく、レーシングアクシデントとなった。ペナルティもなくお互い体も無事だった。タイヤ同士の接触だったため、マシンも無傷でメカニックの仕事を増やさなくて済んだのも不幸中の幸いだった。悔しさが多く残る週末だったが、後悔ばかりしてもキリがない。それよりも、来週のEFOで必ず雪辱を晴らしてきたいと闘志が湧いた。

 月曜日、昨日のうちにバルセロナに戻っていたため今日はいつもの洗濯の後、軽くトレーニングへ。そのあとは軽く自炊をして、日本から持ってきた柿の種を食べながらテレビでサッカー観戦。至福の時間。この日はサッカー番組の後、前日に行われていたF1日本グランプリの放送も観ていた。

 たまに驚かれることがあるのだが、僕はフォーミュラに上がってからは日本でレースをしたことがなく、鈴鹿や富士スピードウェイで走ったことがない。鈴鹿のコースレイアウトは本当によくできていて面白そう。いつかは走ってみたいものだなと思いながら、一日が終わった。

 怒涛のレースライフはまだまだ続きますが、第6回をお届けできるのは年明けになる予定です。ということで、このコラムをお届けするのは今年最後になります。ひとまず2015年、ご愛読いただきありがとうございました。みなさまメリークリスマス、そして良いお年をお迎えください。

(Yu Kanamaru/Yoko Makino)


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