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金丸悠のヨーロッパ悠々レーシングライフ 第7回

2016.02.10

 2014年のF3マカオGP。F1を目指す世界中の若手が集まるこの激戦のレースで、キラリと光る存在感を示した日本人ドライバーがいた。金丸悠、現在21歳。日本の四輪界ではあまりその名を知られていなかったドライバーだが、F1ドライバーを目指し13歳で単身渡欧。2011年、17歳の時にカートの世界選手権で日本人初優勝を成し遂げた金丸は、今もなおヨーロッパに拠点を置きながら、F1への階段を一歩ずつのぼり続けている。

 このコラムでは、そんな金丸が単身ヨーロッパで戦うドライバーとしての苦労やこぼれ話などを、自分自身の言葉でお届け。第7回は、日本で過ごしたオフシーズンを振り返りつつ、今季から参戦するフォーミュラV8 3.5についてお伝えします。

* * * * *

 すでに2月に入っていますが、みなさま新年明けましておめでとうございます。

●シーズンオフの過ごし方
11月のマカオでのレースを終え、そのまま日本へ戻り、オフシーズンに入りました。12月29日に日本でのトレーニング仲間である全日本F3ドライバーの高橋翼やFIA-F4で活躍する篠原拓朗と一緒に体を追いこんでトレーニング納め。正月はのんびり過ごし、1月3日からトレーニングを再開しました。



 1週間近くトレーニングを休むと、なぜか罪悪感や不安に襲われますね。オフ期間中はリラックスできる部分もありますが、クルマに乗れない時間も長いのでフィーリングを忘れてしまうんじゃないかと心配になります。カートやシミュレーター、日常で多めにクルマを運転することで日々、その不安をかき消して過ごしています。そのほか、年末年始は支援してくださっているスポンサーや出版社などに日ごろのお礼とご挨拶に伺ってきました。詳しい件数は覚えていませんが10件以上は回ったでしょうか。

 毎年、年末には家族で伊勢神宮にお参りに行くのですが、今年はそれにあわせて京都にある高台寺にも伺いしました。2015年のユーロフォーミュラ・オープン(EFオープン)では、高台寺の寺紋をマシンのサイドポンツーンに貼らせて頂いたので、そのお礼も兼ねてお伺いしたのですが、今回はお茶室にも通して頂きました。





 年が明けてからは1月26日から2月4日の間、佐賀県にある株式会社オニザキコーポレーションの工場に研修へ行ってきました。僕のことを応援してくださっている方はマシンに貼ってあるロゴなどでご存知だと思いますが、この会社は父が経営する会社であり、僕にとって大切なスポンサーのひとつであります。普段はヨーロッパに滞在し、帰国しても東京から動く機会があまりないので、今回ようやく日頃の感謝を伝える機会ができました。



 研修初日は39年ぶりの大雪で工場の水道管が破裂するという波乱のスタートとなりましたが、工場では商品であるゴマの精選と焙煎、包装という3つの工程を体験してきました。ゴマを精選する作業では、1袋40kgあるゴマの袋をひとつずつ機械に流し込み、1日だけで4tもののゴマを扱いました。これは想定していた以上にきつかったですね。作業内容はなかなかの重労働ではありましたが、工場の方に優しく丁寧に教えて頂き、楽しく仕事をすることができました。


●2016年はフォーミュラV8 3.5に参戦します
 さて、話題は2016年シーズンに移りまして、今年はフォーミュラV8 3.5にテオ・マーティン・モータースポーツから参戦することとなりました。フォーミュラV8 3.5は今年からルノーのサポートが終了するフォーミュラ・ルノー3.5(Fルノー3.5)が改称された新シリーズです。テオ・マーティンはインターナショナルGTオープンに参戦しているスペインのチームで、昨年までFルノー3.5に参戦していたDAMSを買収し、今シーズンから新規参入を果たします。

 本コラム第1回で、2016年はFルノー3.5に参戦する予定だと公言し、15年後半には少し前倒しでポンズ・レーシングからFルノー3.5に参戦しました。しかし、16年シーズンについては、ポンズから継続参戦できるかは未定でした。その時、僕のEFオープン所属チームのオーナーで、この2年間ほど僕の面倒をみてくれているエミリオから「テオ・マーティンと一緒に、もっと大きなことをしたい」と言われ、テオさんを紹介されました。エミリオとテオさんは同じスペイン人ということで旧知の仲で、今年からはエミリオが持つEFオープンのチームもテオ・マーティンと合併。エミリオはテオ・マーティンのチームヘッドとして仕事をすることになっています。

 エミリオからは「ポンズではできないことが、テオとならできる。なぜなら資金力とやる気が比べられないほどあるからだ。そしてプランのなかに、お前をうちのチームで勝たせるという目標もある。だから信じてついてきてほしい」と言われました。最初は不安の方が大きかったですが、テオさんがDAMSのFルノー3.5チームを買ったと聞いて興味を持つようになりました。DAMSはFルノー3.5では13年にケビン・マグネッセン、14年にカルロス・サインツJr.を擁してチャンピオンを獲得している強豪チームです。

 今だから話せますが、Fルノー3.5シーズン終了直後に行われたモーターランドでのテスト費用は、来年に向けた準備だと言ってテオさんが払ってくれました。そんな彼らの熱意を十分感じ、移籍を決意しました。



 日本の場合、メーカーごとに体制発表が行われていますが、ヨーロッパの場合は(F1は別として)大々的に発表会が行われることは多くありません。ほとんどはチームがプレスリリースを配信するだけとなります。これまで契約は済ませているものの、気がついたらリリースが発表されていたというパターンが多かったのですが、今回は日本時間も考慮して、どの時間帯にリリースされるかを事前に知らせて貰うことができました。このような部分でもチームのやる気を感じることができて、僕自身の気持ちも高まりますね。

 Fルノー3.5からルノーが撤退すると聞いたときは、シリーズ自体がなくなってしまうのではないかと不安になりました。周囲からもルノーがいなくなるのは大打撃だという声も聞かれていたのですが、実際には1チームを除いてほぼ全チームがフォーミュラV8 3.5に残ることとなり、想像よりも悪い方向へ進まなかったのではと考えが変わっています。今後も他カテゴリーに負けないシリーズになるのではないでしょうか。また、今後もFIAのスーパーライセンスポイントが付与されるという点はシリーズに残留するメリットとして大きな部分でもあります。


 F3から次のカテゴリーへステップアップすることになり、F1にも確実に近づいていると思っています。5歳のときから、かれこれ16年以上この夢を追いかけてきて、やっとここまでたどり着いたという感じです。ただ、ここからがもっと困難な道であることも分かっています。ドライビング面でもセットアップ面でも、学ばなければならない課題がいっぱいです。しかし、これらの課題を乗り越えることができれば、もっと速く、もっと強いドライバーになれると信じています。そして、なによりも勝つことで味わえる嬉しさが、どれだけたまらないものなのかを知っています。この先も諦めることなく、さらなる高みを目指していきたいと思います。

 今年は3月初旬からプライベートテストがスタートするので、2月後半にはヨーロッパへ戻ります。今年もスペインチーム所属となるので、引き続きバルセロナを拠点にして活動していきます。昨年から通い始めたスペイン語学校へも通い続ける予定です。チームオーナーのテオさんはスペイン語しか話せないらしいので、もっとスペイン語を話せるようにならなければいけないな、と思っています。学ぶべきことは、まだまだたくさんありますね。

 ただその前に……、バルセロナの部屋にはシャワーしかないので、日本を離れる前にどこか地方にある秘湯に立ち寄って、湯船ににつかりたいと思っています。果たして行けるでしょうか(苦笑)。みなさま、どうぞ引き続き応援よろしくお願いいたします。

(Yu Kanamaru/Yoko Makino)


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